湿地・沿岸域研究委員会のセッションでは富山県農林水産総合技術センターの松村 航様をお迎えし、特別講演を実施いたしました。そのほか本セッションでは8件の一般講演の発表がありました。本セッションの聴講者は50名超となりました。現場では活発な議論が行われました。特別講演の概要を下記に記します。(2026.4.23)
【特別講演】「富山湾の藻場と海藻養殖」概要
富山湾には多様な藻場が広がっているが、ワカメを中心とした海藻養殖が行われており、生産量や品質の向上を目指して環境モニタリングや養殖技術の改良が進められている。これらの養殖活動は、藻場の保全や再生にも寄与しており、地域の海洋環境を支える取り組みとして期待されている。海藻養殖は、光合成による二酸化炭素(CO₂)吸収源としても注目されている一方で、藻場の減少や劣化、気候変動による影響など、今後の課題も多い。富山県環境科学センターや農林水産省の研究機関では、現地調査や養殖実験、CO₂吸収量の評価などが進められており、これらの成果は藻場再生や持続可能な海藻養殖の推進に向けた基盤となっている。
令和7年3月18日に湿地・沿岸域研究会主催の研究室見学会が,水環境学会第59回年会(会場:北海道大学工学部)にあわせ北海道大学工学部フロンティア応用科学研究棟で行われました.通常,湿地・沿岸域研究委員会ではフィールド見学を行っております.しかしながら北海道では3月でも雪が多いこともあり,研究手法を学ぶために年会が開催されている北海道大学の水再生工学研究室(木村克輝教授・羽深昭助教)を見学しました.羽深昭助教は富栄養化した湖沼底泥間隙水の詳細なリン濃度分布を計測されていますが,これを実現するパッシブサンプリング法に関する観測機器・実験機器を見学しました.
見学会に先立ち,年会のE会場において羽深助教と共同研究を行っている北海道大学大学院工学院博士後期課程に在学中の佐野航士さんに,委員会メンバーほか15名を対象に現在の研究「新規パッシブサンプリング技術と同位体で探る茨戸湖底泥のリン溶出機構」を御紹介いただきました.湖沼底泥のリン濃度分布だけでなくパッシブサンプリングによりリン酸の酸素安定同位体まで測定可能であることが示され,生物代謝によるリンの生成に関する情報が得られることが発表されました.発表に対して活発な質問が委員会メンバーからなされました.
このあと隣接するフロンティア応用科学研究棟の水再生工学研究室に案内され,歴代のパッシブサンプラーやリンを吸着するための膜を見学いたしました.次々に改良が加えられているパッシブサンプラーや,内製で製作された膜にも大変驚きました.充実した研究環境で独創的な研究が行われていることを知ることができた有意義な見学会となりました.(2025.3.28)
北海道大学工学部フロンティア応用科学研究棟(札幌市北区)
研究紹介を行う佐野航士さん(北海道大学大学院工学院)
歴代のパッシブサンプラーについて説明する佐野航士さん
2025年1月25 日に本委員会共催の地下水流向流速簡易計測研究会第5回研究集会が山口大学工学部志イノベーション道場で行われました.参加人数は対面,オンライン合わせて28名でした.前半はNPO法人水環境研究所岩井久美子様による「千葉県印旛沼流域における湿地の地下水流向流速の計測」(オンライン発表),後半は委員会メンバーの山本浩一とOrnai Belo Joaninha氏による「不飽和域における直接貫入型ペーパーディスク型地下水流向流速計を用いた流向流速計測」でした.前半の岩井様は印旛沼付近の湿地においてペーパーディスク型地下水流向流速計を非常に遅い流速の場に適用した結果について発表されました.後半の山本代表からは毛管水帯における地下水流向流速の直接測定を試みた結果が報告されました.参加者からは活発な議論が行われました.(2025.3.20)